【論文】A03 石井 和之教授らの論文がThe Journal of Physical Chemistry Letters 掲載されSupplementary cover採用されました


Direct Observation of the S0→T2 Transition in Phosphorescent Platinum(II) Octaethylporphyrin, Evidenced by Magnetic Circular Dichroism

K. Ishii, J. Wada, K. Murata

The Journal of Physical Chemistry Letters, 2020, 11 (22), 9828–9833

DOI: 10.1021/acs.jpclett.0c02469

 

光機能性分子の開発において、高位励起三重項状態の重要性が注目されている。特に、第二励起三重項状態 (T2) は、最低励起一重項状態(S1)から最低励起三重項状態(T1)への項間交差過程に関与し得ることから、これを直接観測する手法の開発が望まれている。本研究では、発光材料や酸素センサーとして利用されている、白金オクタエチルポルフィリンの第二励起三重項状態を磁気円偏光二色性(MCD)分光法により観測することを試みた。その結果、低温・高濃度条件において、S0→T1遷移に加えてS0→T2遷移に由来するMCDシグナルを分散型のFaraday A項として観測することに成功した。この結果は、(T1x, T1y)および(T2x, T2y)がそれぞれ縮退していることを実験的に示すものである。本手法は、重原子を含むさまざまなソフトクリスタルの高位励起三重項状態に関する情報を得る上で有用と考えられる。