【論文】A03 グン 剣萍教授らの論文がAdvanced Healthcare Materials掲載されました


Isotope Microscopic Observation of Osteogenesis Process Forming Robust Bonding of Double Network Hydrogel to Bone

T. Nonoyama, L. Wang, M. Tsuda, Y. Suzuki, R. Kiyama, K. Yasuda, S. Tanaka, K. Nagata, R. Fujita, N. Sakamoto, N. Kawasaki, H. Yurimoto and J. P. Gong

Advanced Healthcare Materials, 2021, 10(3), 2001731

DOI: 10.1002/adhm.202001731

 

 

DNゲルと骨を強固に結合する骨形成プロセスの同位体顕微鏡観察

高靱性ダブルネットワーク(DN)ゲルは軟骨や靭帯のような柔らかい支持組織の有望な代替材料です。そのような臨床応用において、ゲル材料を骨組織へ強固に固定する方法が必要不可欠です。近年、私たちはウサギの生体内において、骨に形成した欠損部位にDNゲルを強固に固定する手法を開発しました。この固定化法では、骨の無機主成分である低結晶性ハイドロキシアパタイト(HAp)をゲル表面に複合化し、ゲル内部への骨再生を誘導させることで達成しています。この論文では、この骨再生誘導型の固定法における構造の詳細な観察と、合成HApの骨再生時における再利用を評価するために、骨組織へ埋植された、安定カルシウム同位体44CaをドープしたHAp/DNゲルの同位体顕微鏡を行った。この観察では、メジャーカルシウム40Caと安定同位体カルシウム44Caとの比44Ca/40Caをイメージングすることで、評価を行った。その結果、埋植して最初の2週間で、合成HApは炎症によって速く溶解され、この溶解されたHApを再利用して幼稚な骨が形成されることが認められた。この結果は、埋植したHApが骨再生に再利用されていること示す世界初の結果です。この成果は、骨吸収材の寿命や、ゲルの骨組織へ固定に寄与する無毒で自然な結合形成 のメカニズム解明に役に立ちます。