公募班(2020-2021)
高速AFMで可視化する外的刺激により誘起される多孔性結晶表面の構造ダイナミクス
研究協力者: 田代省平(東京大学大学院理学系研究科、准教授)
研究概要
物質貯蔵材や吸着分離材、不均一系触媒などの多くの応用が期待されている多孔性結晶は、ゲスト分子の吸着や圧力、電場などの外的刺激に応答して結晶構造が柔軟に変化するソフトクリスタルとしての典型的な特徴を有している。外的刺激に応じた結晶構造および物性の変化は、分子内構造や分子間結合などの局所変化とそれにトリガーされる大域的な結晶構造の変化によってもたらされる。外部刺激に応答して結晶表面で生じる局所的な構造・物性変化とその伝搬ダイナミクスを理解することは、多孔性結晶の機能設計や性能向上を図る上で極めて重要であると思われる。本研究では、外的刺激に応答する多孔性結晶表面のナノスケールダイナミクス現象を高速原子間力顕微鏡(AFM)で直接可視化し、I: MMFやMOFなど多孔性結晶へのゲスト分子の吸着と格子歪の結晶表面伝搬の可視化、II: MMF表面での金ナノ粒子の成長過程の追跡、III: 局所力学刺激による格子歪誘起と選択的ゲスト分子の吸着制御の3項目について研究を行い、多孔性結晶の機能設計や性能向上のために基盤的知見を得ることを目的とする。


公募班(2018-2019)
高速AFMを基盤としたソフトクリスタルの構造物性ダイナミクス評価技術の確立
研究概要
ソフトクリスタルは外部環境の変化や弱い機械刺激に応答して、光学特性や機械特性を柔軟に変化させる。これら刺激に応じたソフトクリスタルの物性変化は分子内構造や分子間結合とそれに伴う集合構造の変化によってもたらされる。直接刺激を受ける結晶表面での構造・物性変化とその表面伝播ダイナミクスを高時空間分解能で計測できれば、ソフトクリスタルの応答初期過程を明らかにでき、機能発現機序の解明に重要な知見を与えるに違いない。本研究代表者はこれまで高速原子間力顕微鏡(HS-AFM)の技術開発と応用研究に携わり、生体分子の構造ダイナミクスをナノスケール分解能で可視化することに成功してきた。また最近では高分子ポリマーや超分子などの人工分子系への応用展開も図っており、高速AFM技術がソフトクリスタルの構造物性ダイナミクスの可視化に有効であると考えられる。本研究では、高速AFMを用いて外部刺激に応答するソフトクリスタルの表面・物性構造のダイナミクスを高時空間分解能で可視化する基盤技術を確立し、ソフトクリスタルの機能創発のナノ機構を明らかにする。

