【論文】【共同研究】A03班の筑波大学羽田真毅准教授がA03-01班の九州大学恩田健教授と共同研究した結果である論文がElsevierApplied Materials Today誌に掲載され、研究成果がプレスリリースされました


Photoinduced oxygen transport in cobalt double-perovskite crystal EuBaCo2O5.39

Masaki Hada*, Satoshi Ohmura, Tadahiko Ishikawa, Masaki Saigo, Naoya Keio, Wataru Yajima, Tatsuya Suzuki, Daisuke Urushihara, Kou Takubo, Yusuke Masaki, Makoto Kuwahara, Kenji Tsuruta, Yasuhiko Hayashi, Jiro Matsuo, Takayoshi Yokoya, Ken Onda, Fuyuki Shimojo, Muneaki Hase, Sumio Ishihara, Toru Asaka, Nobuyuki Abe, Taka-hisa Arima, Shin-ya Koshihara, and Yoichi Okimoto*

Applied Materials Today, 2021, 24, 101167.

DOI:  10.1016/j.apmt.2021.101167

 

 

光照射による結晶中の酸素移動とその直接観測に初成功~燃料電池開発などの新たな展開に期待~

 

研究成果のポイント

物質に光を照射し、結晶中の電子の動きやすさ(電気の流れやすさ)などを自由に変化させる現象の報告は、これまで数多くありました。しかし、電子より重いイオンでの報告は少なく、特に電子より1万倍以上も重い酸化物イオン(酸素の陰イオン)の物質中での移動の報告はありませんでした。本研究では、特殊なセラミックス材料に光照射することで、酸化物イオンを室温下で瞬間的(1兆分の1秒以下の時間スケール)に移動させることに成功し、その様子を世界で初めて直接的に確認しました。1兆分の1秒の時間分解能で固体物質中の原子や分子の運動を直接的に観察できる超高速時間分解電子線回折法と、10兆分の1秒の時間分解能で固体物質中の電子の運動を観測できる超高速過渡反射率法、光照射の影響を取り入れた密度汎関数理論計算を組み合わせることによって実現した研究成果です。本研究で示された、室温下の光照射によって生じる酸化物イオンの運動は、全く新しい原理に基づく酸化物イオンの駆動方式です。さらに研究が進むことで、光を用いた燃料電池や二次電池などの開発に新しい展開をもたらすと期待されます。

 

<プレスリリース>

TSUKUBA JOURNAL 筑波大学プレスリリース  2021/09/06 :こちら

Phys.org  2021/09/07:こちら

Innovation News Network  2021/09/08:こちら

Solar daily  2021/09/09:こちら

Azooptics  2021/09/09:こちら

日本の研究.com  2021/09/06:こちら