【論文】【共同研究】A03-01 宮田 潔志助教、A03-01 恩田 健教授、A03 羽田真毅准教授らの共同研究の成果である論文がJournal of Chemical Physics掲載されました


Liquid-like dielectric response is an origin of long polaron lifetime exceeding 10 μs in lead bromide perovskites

Masaki Saigo, Kiyoshi Miyata, Sei’ichi Tanaka, Hajime Nakanotani, Chihaya Adachi, Ken Onda

Journal of Chemical Physics, 2020, 152, 084704

DOI: 10.1063/1.5127993

 

次世代の電子材料として期待されている鉛ハライドペロブスカイト(LHP)材料について、溶液法から試料を作製しても欠陥が非常にできにくいという特徴の起源が有機カチオン由来のダイナミクスと相関があることを見出しました。

 

本研究のポイント:
●LHPの電子物性を理解する上で重要である誘電率の測定を106 – 1013 Hzという広範囲で、有機無機ハイブリッドLHP(CH3NH3PbBr3)とすべて無機元素で構成されたLHP(CsPbBr3)で比較した。この比較により56 GHzの領域にある誘電応答は有機カチオンの存在によるものと突き止めた。
●通常の発光測定では表面付近のトラップにダイナミクスが大きく影響されることが問題だった。そこで、二光子励起により表面から遠い領域に励起状態を生成する二光子励起による発光特性を調べることで、材料本来の励起状態の寿命を突き止めた。この測定によりCH3NH3PbBr3中の光キャリアの寿命が10マイクロ秒以上あることが明らかになり、これはCsPbBr3よりも一桁以上長寿命であった。
●したがって、キャリアの長寿命化には有機カチオン由来の液体様の構造ダイナミクスが重要と結論した。