【論文】【共同研究】A03 長谷川 美貴 教授がA03 岩村 崇高 講師らと共同研究した成果である論文がChem Plus Chem掲載されました


Chiroptical Spectroscopic Studies on Lanthanide Complexes with Valinamide Derivatives in Solution

M. Hasegawa, D. Iwasawa, T. Kawaguchi, H. Koike, A. Saso, S. Ogata, A. Ishii, H. Ohmagari, M. Iwamura and K. Nozaki

Chem Plus Chem, 2020,85,294-300

DOI: 10.1002/cplu.201900692

 

 

バリンアミド誘導体を有するランタニド錯体の溶液中でのキラル分光研究

 

A03班長谷川美貴グループ(青山学院大学)と岩村崇高グループ(A03公募・富山大学)は、高い円偏光発光(CPL)を示すキラルな希土類錯体R, S-EuLvalを新規に開発した。ラセミの関係にあるEu錯体を用いその単結晶による構造解析により配位子Lvalはバリンアミドビピリジン骨格を持つ四座配位子としてEuと共平面性をもって錯形成することが分かった。比較して2個のビピリジン骨格と光学異性部位としてメチル基をもつ六座配位子S, R-EuLmeも合成した。双方ともに分子内にキラル部位を有しているがCPLスペクトルが先の錯体の場合と異なる。これはR, S-EuLmeの二個の等価な発色団が不斉の位置にあり、励起子相互作用によって準位が2個に分裂することが原因である。すなわち、この錯体は2個のビピリジン部位が右回りあるいは左回りの位置関係にあるため、R, S-EuLvalと異なる挙動を示す。以上から、Eu錯体のCPLの発現は分子にキラルを含ませるだけでなく、分子の発光団の数や位置関係が関係しているということが明らかになった。