【論文】A03 グン 剣萍教授の論文がJournal of Materials Chemistry B掲載され、表紙に採用されました


Polyelectrolyte Complexation via Viscoelastic Phase Separation Results in Tough and Self-Recovering Porous Hydrogel

K. Murakawa, D. R. King, T. L. Sun, H. Guo, T. Kurokawa and J. P. Gong

Journal of Materials Chemistry B, 2019, 7(35), 5296-5305

DOI: 10.1039/C9TB01376H

表紙 DOI: 10.1039/C9TB90122A

 

粘弾性相分離に誘起された静電複合体からなる、強靭性・自己回復性を有するポーラスハイドロゲル

対電荷を有する高分子電解質からなる静電複合体は、希釈溶液ではコアセルベートを、濃縮溶液では薄膜を形成する。対電荷を有する高分子溶液の接触界面では、強力な静電複合体が瞬時に形成・不溶化するため、マクロに均一でバルクな静電複合体材料の創製は困難であった。本研究では、脱塩に誘起される粘弾性相分離によって、静電複合体からなるバルクなハイドロゲルを簡便に創製することに成功した。まず、高イオン強度の水溶液によって対電荷を有する高分子電解質間の静電相互作用を遮蔽することで、均一で濃縮された高分子電解質溶液を調製する。その後、節溶液から対イオンおよび副イオンのみを半透膜を介して脱塩することで溶液に粘弾性相分離が誘起させ、ポーラス構造を有する静電複合体ハイドロゲルを得た。本材料のポーラス構造や機械物性は、調製溶液の電荷比によって制御可能である。また、電荷平衡時には、可逆性の静電相互作用に起因する高靭性や自己回復性を示す。加えて、本材料の特異的な圧縮挙動は、高分子電解質間の静電相互作用とポーラス構造中の自由水に由来する。ポーラス構造を有しながらも強靭である本材料は細胞足場材料などへの応用が期待される。