【論文】A03 グン 剣萍教授の論文がJournal of Materials Chemistry A掲載されました


Facile Synthesis of Novel Elastomers with Tunable Dynamics for Toughness, Self-healing and Adhesion

L. Chen, T. L. Sun, K. Cui, D. R. King, T. Kurokawa Y. Saruwatari and J. P. Gong

Journal of Materials Chemistry A, 2019, 7(29),17334-17344

DOI: 10.1039/C9TA04840E

 

 

 

 

動的な靭性、自己修復性及び接着をチューニングできる新規エラストマーの合成

本研究では、有機溶媒を使用せずにアクリレートモノマーの一段階フリーラジカル共重合により新規エラストマーを合成した。Kuhnセグメント(高分子鎖の特徴的な長さ)の緩和時間によって特徴付けられるエラストマーの動的力学物性は、アクリレートモノマーの構造および組成を変えることによって6桁にわたって広く調整することができる。すなわち、一定温度・一定変形速度において極めて硬い(柔らかい)、丈夫(脆い)などの多彩な力学応答を示すよう材料をチューニングできる。微小変形の線形レオロジーから見積もられる脆性−延性転移辺りの時間スケールと、それと対応する変形速度で行った大変形引張試験における靭性が概ね最大を示し、レオロジーのプロファイルから材料の大変形における靭性を評価することができる。本材料の破壊エネルギーや破壊までの延伸仕事量は天然ゴムに匹敵し、これまで報告された中で最も高い。また、100%の自己回復性とガラス基板やプラスチック基板に対して高い接着強度を示した。本材料は、極めて簡便で低環境負荷の合成方法で作成でき、容易に動的力学物性をチューニングできることから、新たなエラストマー材料の作製手法として期待される。