Suppression of Structural Change upon S1-T1 Conversion Assists Thermally Activated Delayed Fluorescence Process in Carbazole-Benzonitrile Derivatives
Masaki Saigo, Kiyoshi Miyata, Sei’ichi Tanaka, Hajime Nakanotani, Chihaya Adachi, Ken Onda
Journal of Physical Chemistry Letters, 2019, 10, 2475-2480
DOI: 10.1021/acs.jpclett.9b00810
非常に短時間で生じる有機発光材料の分子の形状変化をリアルタイムで分析する手段を開発しました。さらにこの手段を第三世代有機 EL 発光材料に適用することにより、その発光効率を決定づける要因の解明に成功しました。
本研究のポイント:
- 有機発光材料における発光過程は、高エネルギー状態において超高速の時間スケール(10 億分の 1 秒程度)で起こっています。発光材料の効率や耐久性は、この過程における分子の形に支配されていることが予想されていましたが、実際にこれらの過程を分析する手段はありませんでした。そこで 1 兆分の 1 秒の時間幅をもつパルスレーザーを用いた時間分解赤外振動分光法により、 短時間で変化する分子の構造の分析を可能にする手段を開発しました。
- 開発した分析手段を用い、九州大学大学院工学研究院の安達千波矢教授の研究グループと共同 で、第三世代有機 EL 発光材料の発光過程における分子変形を実際に観測しました。その結果、 発光効率が高い分子では発光過程中の分子変形が抑えられていることが明らかになりました。これは高効率な分子材料を戦略的に設計するための重要な指針になると期待されます。
<プレスリリース>
LaserFocusWorld 2019.05.29 こちら
Optinews 2019.5.29 こちら
日本の研究.com 2019.5.27 こちら