芳香族ジシラン類はSi‒Si‒C(sp2)間のσ‒π共役により特徴ある蛍光特性を示す。一方、シクロファン分子はその形状から分子内反転運動を示すことや、面不斉を有するキラル分子として注目されている。本研究では、これらの特徴を併せ持つテトラシラ[2.2]シクロファン類を設計し、分子運動の制御と光物性の調査を行った。この分子は固体状態で強い青緑色の蛍光を示し、電界発光（EL）材料への展開に成功した。また、適切な置換基を施すことで面不斉を有する分子を合成することができ、良好な円偏光発光を発現することも見い出した。
“Multi-functional Octamethyltetrasila[2.2]cyclophanes: Conformational Variations, Circularly Polarized Luminescence, and Organic Electroluminescence”
Masaki Shimada, Yoshinori Yamanoi, Tatsuhiko Ohto, Song-Toan Pham, Ryo Yamada, Hirokazu Tada, Kenichiro Omoto, Shohei Tashiro, Mitsuhiko Shionoya, Mineyuki Hattori, Keiko Jimura, Shigenobu Hayashi, Hikaru Koike, Munetaka Iwamura, Koichi Nozaki, Hiroshi Nishihara
J. Am. Chem. Soc., 2017, 139 (32), 11214–11221
DOI: 10.1021/jacs.7b05671
